ボルドー市から、車で約1時間程。ジロンド河右岸のワイン産地が、コート ド・ブライです。広大な風景を見ながら、ひた走り、大型バスで細い道をギリ ギリ抜けた所に、”カマン”という小さな村があります。 村へ入った直ぐに、白い美しいシャトー（家）があり、そこがラズ・カマンです。 到着してすぐに細身のイケメン男性が出迎えてくれました（写真左）その方 が、7代目の1人、ラファエル・ポムローさんです。 ラズ・カマンは1680年に貴族メリニャン候の騎士「ラ・ラズ・カマン」が所有して いた大変歴史あるぶどう園で、1857年に現在のポムロー家の先祖が所有者 となっています。 6代目当主であった、ジャン=フランソワ・ポムロー氏が新技術の導入や品質向上に努め、その人並みはずれた努力が評価され ラズ・カマンは、ブライ地区でリーダー的存在となります。 そして現在は、お出迎え頂いたラファエルさんと、兄のカールさん（写真右）の2人が7代目として蔵を継承。ブライの若手ホープ的な生産者といえます。 |
最初に蔵の目の前にある畑を見学。その畝の美しさ、まるで芝生のように生 えそろった雑草、先に、ラズ・カマンは先代から“緻密な作業を行う造り手で ある”と情報をもらっていましたが、それが畑からも感じ取れるほどです。 しかも 踏むとフッカフカ。土壌をしっかり活性させているのが判ります。 その横に、ワイン貯蔵庫（シェ）。中はホコリが殆ど見えない程綺麗。 蔵は、「シボレックス」という大きな石を切り出して作られたもので、ラズ・カマ ンは、地下にカーブ（貯蔵庫が地下にある場合は、カーヴと言います）は無いのですが、外にある貯蔵庫の中は、このシボレックスという白い石のおか げで、クーラーなどなくても中は涼しく、年間の温度も一定に保たれています。 整然と並べられた樽は、真ん中のラインを滓で色付けしており、これはラファエ ルさんがデザインで採用したもの（汚れて見えるのが嫌なんだそうです）。樽も新樽を毎年のように購入し、使っても3年ぐらいまでなのだそう。かなりお金の掛かった熟成を行っています。 そして、醸造所の方へ。 |
次は兄のカール・ポムローさんにご説明を頂きました。 弟のラファエルさんはとはタイプが全く違い、カールさんは、ニコニコしてて優し そうなのですが、「この人が醸造者なんだな」というのが判る感じです。 ラズ・カマンは、兄弟で経営を行っていますが、弟のラファエルさんが広報・営業担当兄のカー ルさんが栽培・醸造を担当しており、しっかり分業制です。カールさんの説明も情熱的でかつ細密。その細やかさは、ワインの味わいに表れると思います。 赤ワインの醗酵は、殆ど木槽で行っており、これはブライでは珍しく、300件以上ある生産者の中でも20件程しか行っていないのだとか。ブレンドもカールさんが基本ベースで行って、その後、家族で話あって、ラズ・カマンの味わいを 決めて行くのだそうです。この醸造施設も綺麗に清掃されていました。 ティステイングルームに移り、全てのキュヴェを試飲。そこでは広報のラファエルさんが 凄く熱心にワインを説明。その間、兄のカールさんは、ニコニコしながら見ています。醸造の話になると、カールさんがお話しされるのですが、その間、ラファエルさんはお兄さんのお話の邪魔をすることなく聞いています。 この2人は、11歳年の差がある兄弟で、見ていても、カールさんは弟が可愛く、ラファエルさんはお兄さんを尊敬しているんだろうなぁと、凄く素敵な兄弟だと思いました。それが、ラズ・カマンの 持っている、完成度の高い味わいに繋がっているのだろうと思いました。 とにかく、熱心な兄弟が、しっかりした技術と投資の下、そして家族愛により、素晴らしいワインを産み出しています。しかも、ラズ・カマンのワインは、それでいてお手頃。ワインファンにとっては嬉しい生産者なんです！ |
■シャトー・ラ・ラズ・カマン ルージュ[2018] ラズ・カマン全てのワインの指標となるのが、このワイン。兄のカールさん、弟のラファエルさんともに、このワインがシャトーの屋台骨となると話されており、ブレンドを行う際も、家族全員で協議し、最高のばバランスを持って造り上げています。 ぶどうが完熟するまで待った「熟度」にこだわったワインで、メルロ特有のトロッとしたコク、ボリューム感を主体に、カベルネを使いしっかりしたボディーと締まりを調和させた、さすが代表銘柄です！ 【産地】フランス/ボルドー 【格付】AOC ブライ・コート・ド・ボルドー 【品種】メルロー58％、カベルネ・ソーヴィニョン22％、マルベック20％ 【製法】4〜5日間の低温マセラシオン後、品種ごとに温度管理をしながらアルコール醗酵。合計約3〜4週間マセラシオンを行う。 【熟成】1/3を新樽で、残りは1〜3年樽で熟成。期間は12ヵ月間。 【タイプ】赤ワイン・ヘヴィタイプ カシスや熟したベリーなどの黒い果実の香り、インク、杉、バニラなどの芳醇で力強い香りがあります。 熟度が高いため、樽とは違う甘い香りと細かいタンニンがあり、構成がしっかりあって「ボルドーワイン」らしい風格が備わりつつ、優美さも備えます。 余韻も長く、飲み応えがあり、かつ奥行きのあるボルドーワインの魅力がしっかり詰まったワインです。 |
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